2007/07/02
教育+IT
僻地校が都会に働きかけるITネットワーク
過去3回に渡って紹介してきた、北海道斜里郡斜里町立峰浜小の一連のブログ。これまで話をうかがってきた同校IT担当の宮内盛一教諭は、教職に就いて最初は現在は北見市に合併された留辺蘂町に赴任。山深くはあるが、北海道でも老舗の温泉地・温根湯温泉を擁する町で、生徒数も100名はいた。その後、網走の大規模校を経て、本格的に過疎に悩む斜里町に着任したのだ。
「斜里町には海も山もあり、漁業・農業・観光が基幹産業。しかし、夏以外は観光もぱっとせず、人口流出は止まらない。峰浜小も最近、僻地2級から3級に指定換えされてしまいました」
この僻地学校の等級(1級~5級)とは、その数字が大きいほど度合いが高く、これに准じて教員には特別手当が支給される。その値は本俸に対する付加額で示され、5級ともなると25%増しなのだが、その「都から遠く離れた」想像を絶する不便さは、元教員で廃村の研究をする浅原昭生さんが実際に5級校を訪ねたホームページを見ても明らかだ。教員採用が厳しい昨今、是が非でも小学校教員を志望するなら僻地勤務、とも言われる所以もそこにある。しかし、全国に僻地校は総数4178校(小学3016校、中学1162校)あり、全公立小中学校(3万3749校)のおよそ12%にも当たるのだ(平成15年調べ。休校中の学校も含む)。
日本では人の住むところ、必ず義務教育機関があるというのが建前。明治時代、北海道の開拓地では学校が作られるまでその地域は免税だったとされる。つまり、行政のおよぶ範囲は即、義務教育が実施可能ということなのだ。しかし、僻地校も所定の数の生徒が集まらねば、廃校を余儀なくされる。峰浜小にもその危険は差し迫っていた。事実、生徒が15名以下だと担任が1人置けなくなり、教頭が担任を兼務する。さらに14名になると事務職員もカット。教頭+担任+事務職員を1人で務めなければならない。
「年度当初に16名をクリアするかどうかは、山村留学生にかかっている、ということになります」と宮内教諭も苦笑する。しかし、教諭がIT教育を推し進め、その表現力で全国的評価を得るようになって以来、僻地校同士の交流も密になった。教諭は山村留学がいっそうの全国的理解を得ると期待している。
「沙流郡平取町の振内小学校では、札幌から移り住んだ有志が非常に協力的で、親子留学の保護者のためにコンビニまで作ってしまった。そういう地域の活力を集める場に、学校がなっているんです」
同校は5~60人の生徒規模で、学校維持というよりは、過疎化の歯止めという捉え方で運営されている。一口に山村・海浜留学と言っても、さまざまな意図や形態があるのだ。北海道内の留学については、
同校関係者が主催する北海道田舎留学支援センターが「田舎すくーる北海道」というポータルサイトを運営。これは農水省の「農村コミュニティ再生・活性化支援事業」に採択され、半額だが助成も受けている。将来的には、視察に訪れる人たちのために交通機関や宿泊施設の手配までも視野に入れ、活動中だ。
「たった一校、一地域ではできないこともみんなで協力していけば、きっと大きな成果をあげられます」と、その巻頭言にもあるが、そもそも、峰浜小の一連の活動も、「つながりを大切にしたいという、子ども2名の意見で、とりあえずやってみようと始めました」(宮内教諭)とのこと。ITに限らず、すべてのビジネスを成功に導く鍵もまた、その素直な姿勢にあるのだろう。
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