2006/11/08
なんでボクがシスタンなんですか?
その三「名は体を表す」

時をさかのぼること1年前。
その日課長は、夕方近くなると件の先輩を会議室に招集し、2人であれやこれやと延々話し込んでおりました。
「どうすっかなぁ」
「どうしましょうねぇ」
2人とも「めんどくせぇなぁ」という顔で、じっと腕組みをしています。
先月末に、今まで社内のシステム担当をしていた者が、急な理由により退職することになりました。といってもその人物は別部署の者なので、それ自体は特になんということもありません。
問題はその後のこと。空白になった「システム担当」のポストです。
「部署持ち回りだからなぁ」
「ウチがやる番なんですよねぇ」
そう、この会社では毎度毎度システム担当を、各部署の持ち回りで決めていたのです。といっても特に定期的に変えるというわけではなく、「変える必要がある」となった時に、「じゃあ次は違う部署から出しましょうね」とするアバウトなもの。あんまりアバウトだし前任者が長期政権だったもんですっかり忘れていましたが、そんなお約束の流れがあったのです。
で、その順番が今回まわってきちゃいましたよ…と。
誰が適任なのかねぇと考えてみた課長ではありますが、そもそも「どんな能力を持ってる人が適任なんでございますか?」というところからしてわかりません。パソコンに詳しいやつがいいのか? でもどうせ難しそうなとこは業者に丸投げだろ? そもそも詳しい奴なんてウチの課にいたか?
相談を受けた先輩だって、その点は課長と大差なしです。パソコンに詳しいといえば、ウチの課だと自身に当てはまりそうな気もしますが、「システム担当」を引き受ける気なんかさらさらありません。余計な仕事は抱えたくないのココロなのです。そもそも、ちょっとワープロが器用に使える程度だし。
「う~…ん」
なんだかよくわからんし、とにかくめんどくさいなぁこれはなぁ。
そんな受難の相を浮かべながら、2人はただただうなり続けるのみなのでした。
「あ」
ふいに、先輩の側が短く声をあげました。
「課長、課長、これこれ」
手に持った名簿をうれしそうに振りながら、彼はその中の一点を指さします。
その先には、「志須山丹悟」という名前。
「シ・ス・ヤ・マ…タンゴ!?」
2人で同時に読み上げて、そして同時に笑いました。
「決まりだな決まり、まさに名は体を表すのとおりだな」
こうしてシスヤマタンゴ…略してシスタンは、めでたくシス担候補に決定したのでした。
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