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ABO:形成外科医 亀井さくらの健康クリニック

形成外科医 亀井さくらの健康クリニック

 |  2007年08月  |  次へ>


 アスキービジネスオンラインをご覧のみなさま、はじめまして。形成外科専攻中の亀井さくらです。医師という仕事をしていると、患者さんから形成外科以外の疾患についても質問を受けることが多々あります。
 このブログでは、働き盛りのビジネスパーソンに向けて、自身の健康を保つための情報をお送りします。どうぞ、よろしくお願いします。

 さて、第一回目は、おそらく多くの人が気になるであろう「肝臓」のお話です。「お酒の飲み過ぎで肝臓が……」という話は、もはや説明するまでもないほど浸透している知識です。しかし、肝臓が悪くなる原因はアルコールだけではありません。そこでまずは、肝臓とはどんな臓器なのかという基本からお話していきましょう。

 肝臓の機能は多岐に渡りますが、主に糖や脂肪(コレステロール)、蛋白などを代謝・合成したり、薬物などを分解し排泄します。加えて、主に小腸における脂肪の消化を助ける「胆汁」の生成なども行なうたいへん重要な臓器です。また、肝臓は人体内の臓器のなかでは最大で、成人では1.2~1.5kgもの重量があります。

 このように多くの役割を持つ肝臓は、さまざまな原因でその働きを鈍らせます。「欧米型」などに代表される現在の日本の食生活では、糖分の過剰摂取や肥満などが原因で肝臓に中性脂肪が蓄積し、「脂肪肝」になる人が増加しています。そのほかにもさまざまな肝障害が多数存在しますが、多くは重症になると「肝硬変」へと進行します。また、血液製剤で感染するC型肝炎はHCVというウイルス性肝障害ですし、すべての薬物が原因となり得る薬物性肝障害などもあります。

 肝機能が正常かどうかを把握するには、会社で受ける年に一度の健康診断などによる採血検査が必要です。肝機能の良し悪しが分かる項目(酵素)は多数ありますが、ここではほとんどの検査で調べる代表的な3つを紹介します。
 まずは、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)の2つです。両方とも本来は肝細胞内にある酵素なのですが、この肝細胞が壊れると血液内に漏れ出してきます。つまり、これらの値が高くなると、何らかの理由で肝細胞が壊れていること(肝障害)が分かるのです。

 もう1つが「γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチターゼ)」です。この酵素は、冒頭でも紹介したアルコール性の肝障害の時に上昇します。ただし、上昇するといっても数字の大小で重症度は違ってきますし、必ずしも上昇していたから肝障害があるという訳ではありません。診断結果で異常値が出たなら医師による診察を受け、適切なアドバイスを得ることが健康を保つ上で最も重要です。
 それでは次回は、これら3つの具体的な数値を挙げながら、みなさんの肝臓の診断をしていきましょう。


 前回、肝臓の代表的な3つの検査項目(酵素)としてGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、GPT(グルタミン酸ピリビン酸トランスアミナーゼ)、γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチターゼ)を紹介しました。今回は、これらの3つから分かる肝機能の良し悪しを、具体的な数値を見ながら説明していきたいと思います。

 年に一度の健康診断などでは、さまざまな数値が書かれた結果表が渡されます。それらの数値を見てみると、正常値より高い場合はH(High)、低い場合はL(Low)と記載されてはいませんか? 各施設や病院によって多少違いますが、肝臓に関連する3つの値は、GOTとGPTは40未満、γ-GTPは70未満が正常範囲です。

 一方、これらが正常範囲を超えた場合は、それぞれの値の違いにより、自身が持つ疾患の傾向が見えてきます。個々に見ていきましょう。

 まず、一般に肝臓には、GPTよりGOTの方が多く含まれています。そして、肝臓全体が障害される疾患(肝硬変、肝細胞癌、劇症肝炎など)ではGOTが上昇し、3桁になることもあります。GOTが100以下であればまだ軽度の疾患ですが、これが1000以上などの数値を示す場合は、ウイルス性急性肝炎などの危険性もあり、医者による治療が必要です。

 また、じわじわと肝臓を痛めつけていくような慢性肝炎や脂肪肝などではGPTの方がGOTより上昇するのが典型的です。これも、3桁の数値となる場合は重症で、早急な治療が必要です。

 一方、γ-GTPだけは、アルコール性肝障害、いわゆる「お酒の飲み過ぎ」で著しく高くなるものです。アルコールの量に比例して、3桁や4桁になることもあります。ただし、γ-GTPはアルコールを止めるだけで、その数値が急激に低下するという特徴もあります。つまりアルコール性肝障害の治療は、禁酒により劇的な改善が見込めるというわけです。

 もちろん、これらは一応の目安なので例外も多くありますし、病気の進行度によっても変わってくるものです。最終的には個々で判断せず、必ず専門医の診察を受けることをお勧めしますが、これまでの健康診断の結果を見ながら、皆さんも自分の肝臓を評価してみましょう。



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