2007/09/30
医者
「医者」というお仕事
前回に引き続き、今回は意外と知られていない「医者になるまでの道のり」についてお話ししましょう。
医者になるには、まず国立大学や私立大学の医学部に入学するところから始まります。入学してから卒業するまでは6年間かかりますので、一般的な他の大学より2年間多く時間がかかります。ここまではご存じの方も多いでしょう。
ただ、学校によって多少違いはあるものの、6年間の中では内科・外科・眼科・皮膚科など、医者として必要なすべての科を網羅することなどは、あまり知られていないようです。つまり大学の医学部では、ひととおりすべての科に関する勉強をするのです。もちろん、最初の1、2年は化学や生物、英語、ドイツ語、フランス語など基礎的な勉強をするのは、ほかの大学と同じです。
また、進級するにはそれぞれ試験があり、6年生を卒業するには30以上の科目をパスしないと卒業できません。もちろん、すべてパスしたからといって医者になれるわけではなく、最終的に医師国家試験に合格しないと医者にはなれません。
大学での試験は、この医師国家試験を受けるための切符のようなものです。医師国家試験に合格して、はじめて医者になります。
さらに、道は続きます。医師国家試験に合格後、最初の2年間は研修医といわれ、医者として必要な多くの医療行為や知識を学びます。研修医を終えて、やっと内科や外科などの専門分野に従事することができるのです。
そこからは、専門医へ到達する道のりです。私は、形成外科認定医(専門医)になるために現在勉強中の身です。分野によっても異なりますが、形成外科は認定医になるまでは、医者になってから最低7年かかります。それも、7年勉強してはじめて試験を受ける資格が与えられるということです。もちろん、試験に合格しないとなれません。専門医になるまでの期間は科によって違うのですが、どの科も決して楽な道のりではないと思います。
おそらく多くの医者が考えていると思いますが、医者は一生勉強していかなければならない職業です。医療は日々新しい治療が進歩しています。「先生」と呼ばれる職業はすべて、こうした日々の努力が必要なのです。
2007/09/28
医者
「形成外科」というお仕事
さて、これまで健康に関するさまざまな話題を取り上げてきましたが、医者が普段どういうお仕事をしているかについても紹介しましょう。今回は、私が携わっている「形成外科」についてです。
皆さんは形成外科がどんな仕事をしているかご存じですか? 語感が似ているので、よく「整形」外科と間違われます。また、テレビなどでも話題になりやすい「美容形成(整形)外科」を思い浮かべる方は多くありませんか?
形成外科と一言で言っても、取り扱う病気は数多くあります。なかには、あまり一般になじみがないような病気も扱います。
顔・手足の怪我や骨折、熱傷(やけど)、皮膚の良性・悪性腫瘍、手術や怪我の痕、口唇口蓋裂などの生まれつきの病気、床ずれ、皮膚の潰瘍、レーザー・スキンケア・美容外科手術など、挙げていくと書ききれないほどです。
美容などの分野も含まれるので、よくテレビなどに出演している医者などから華やかなイメージがあるかもしれません。しかし、実際は決してそんなことはありません。全身のやけどは、生死を彷徨う重篤な状態なので一睡もしないで治療を行ないますし、床ずれの患者さんは高齢者で寝たきりの人が多いため、栄養状態や元々ある病気の治療にいたるまで厳重な管理を行ないます。
ちなみに「整形」外科は、腰痛やムチウチ、腕や太ももなどの骨折を主に取り扱い、形成外科とは区別されています。ただし、手指・足の怪我や骨折などは、形成外科でも整形外科でも扱うので、その違いがわかりづらいのでしょう。
もし、今回述べたような病気でお悩みの方がいらっしゃれば、ぜひお近くの形成外科をお訪ねしてください。お話を聞くだけでも、みなさんのお役に立てると思いますよ。
2007/09/27
血液
痩せすぎは体からの危険信号!? 本当に恐ろしい「糖尿病」
今回は、成人病の1つとして患者数が急増している「糖尿病」についてお話しします。
まず、糖尿病を一言で説明すると、「血糖値が高くなる病気」です。血糖値とは、血液中にブドウ糖がどれほどあるかを示すものです。ブドウ糖は、おそらく多くの人がご存じでしょう。ブドウ糖は食べ物や飲み物を消化して作られるもので、通常は人が活動するために必要なエネルギー源として細胞に運ばれます。しかし、糖尿病になると、この必要なブドウ糖が細胞に運ばれなくなり、血液中に溢れてしまいます。
その原因は、インスリンというホルモンが関係しています。インスリンは体の中で唯一血糖を下げるホルモンで、食後に血糖が上がらないように調節しています。つまり、ブドウ糖のコントロールをしているのです。よって、インスリンが不足したり、うまく作用しないと、ブドウ糖が細胞に取り込まれず血液中のブドウ糖が使えなくなってしまいます。そうなると筋肉や内臓にエネルギーが運ばれないので、全身のエネルギーが足りなくなってしまいます。糖尿病で肥満だった人が急に痩せたりするのはこのためです。
この糖尿病の恐ろしいところは、一度なってしまうと完治することは難しい点です。なってしまっては、この病気と一生つき合うことになるのです。つまり、ならないように予防することが一番必要な対策といえる病気です。
糖尿病はいくつか種類がありますが、代表的なものは「1型糖尿病」と「2型糖尿病」です。1型糖尿病は遺伝的な影響が大きく子供でも発症します。2型糖尿病は食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が大きく関与します。日本では、95%が2型です。食生活や生活習慣が大きく影響しているということは、自分の心がけ次第で、しっかりと予防できるということなのです。
なお、糖尿病の検査は、採血で早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上が1つの目安となります。そのほかにも診断の基準はいろいろあるので、1回の検査で分からないときは追加の検査を行なうこともあります。いずれにしても、健康診断や人間ドックで定期的な検査をすることが大事です。万が一、高血糖で糖尿病が少しでも疑われたならば、早めに専門医に診察を受けることをお勧めします。
2007/09/23
血液
一家に一台「マイ血圧計」
健康診断で必ず測るのが、ご存じ「血圧」です。血圧とは、血管の内圧のことで、一般には動脈の内圧のことを指します。心臓が収縮して全身に血液を送り出す時(収縮期)と、拡張して血液を取り込む時(拡張期)の2つに分けて表され、最高血圧が収縮期血圧、最低血圧が拡張期の血圧となります。
年齢などの個人差はありますが、通常は2回以上の血圧測定で最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHg以上ある時は高血圧症としての治療が必要となります。
高血圧は、原因の明らかでない「本態性高血圧」が80~90%を占めると言われています。高血圧を起こす病気はいくつかあるのですが、現在の医療では、実際にはほとんど原因がつかめていないのが現状です。
また、本来は正常血圧なのに、白衣を着た医師や看護師に血圧を測ってもらうと一時的に血圧が上昇する「白衣高血圧」という特殊なものも存在します。もちろん、それでも一時的とはいえ急激に血圧が上昇しているのは事実ですから、白衣高血圧だからといって安心はできません。それに、最近ではこれが高血圧の前段階であるという報告もあります。白衣高血圧の予防としては、血圧の自己測定を行って自分の血圧の変動をよく知ることが大事です。
最近では、家電量販店などでも手軽に血圧計を入手できる時代です。ぜひ、少しでも高血圧の疑いがある人は、「マイ血圧計」を用意して、自己測定を行なうことをお勧めします。
もちろん、そのほかによく言われているような肥満解消、減塩食などの自己管理、イライラや興奮を抑える努力をするなども効果的です。
一方、低血圧の場合も見ておきましょう。低血圧は、最高血圧が100mmHg以下の状態です(最低血圧は無関係です)。低血圧も、病気によって起こるものと原因不明のものがあります。なお、よく「低血圧だから朝起きるのが辛い」という人がいますが、これは医学的に根拠はないと言われています。ただし、疲れが取れにくいなどの症状は出るようです。
高血圧、低血圧ともに、軽症のうちは食事療法や運動療法で治療することが可能です。重症になると薬による治療が必要となるので、ぜひ、血圧の自己測定や生活の見直しで血圧のコントロールは可能であることは知っておきましょう。
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