ABO:会計士平林亮子の経営カウンセリングルーム

公認会計士の平林亮子が、企業経営に関するさまざまな話題を会計の視点から語ります。

2007/07/24

企業が倒産するとは
決算書に現れる倒産の兆候②

 前回に引き続き、各種決算書から見えてくる、企業の倒産の兆候について見ていきましょう。前回は損益計算書について解説しましたが、もう1つの決算書である「貸借対照表」にも注目すべきポイントがあります。

 それが、「自己資本比率」です。自己資本比率は「純資産÷(純資産+負債)」で求められます。

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 企業は、株主からの「出資」と、金融機関等からの「借入」によって資金を調達し経営されています。出資分は企業が倒産するまで返済義務はありませんが、借入については返済に追われることになります。
 乱暴ないい方をすると、企業は借入の返済ができなくなったとき倒産に追い込まれることになりますので、借入が多ければ多いほど倒産する確率が高いということになります。

 ここで出資は「純資産」として、借入は「負債」として貸借対照表に計上されます(ちなみに、両者をあわせた、企業の利用できる資金総額が「資産」として貸借対照表に計上されます)。そのため、純資産と負債の比率である「自己資本比率」によって、倒産の度合いを測ることができるのです。

 つまり、自己資本比率が高ければ(=負債が少なければ)倒産度合いは低くなり、自己資本比率が低ければ(=負債が多ければ)倒産度合いが高くなるということです。

 上場企業の自己資本比率の平均は40~50%ですので、20%以下であればかなり低いといえるでしょう(金融機関は除く)。特に、自己資本比率がマイナスとなった場合には、負債が資産を上回る「債務超過」を意味しており、かなりの注意が必要です。
 もちろん、決算書のデータだけですべて判断できるようなものではありませんが、1つの兆候として知っておくといいでしょう。


2007/07/10

企業が倒産するとは
決算書に現れる倒産の兆候①

 企業は、不祥事などのハプニングによって突然倒産することもあります。しかし、業績不振などの結果、徐々に倒産へと近づいていくケースもあり、その兆候が決算書に現れることがあります。
 もちろん、各種決算書の「ここがこうなっていたら倒産」というほど単純な話ではありませんが、一般的に倒産の兆候として注意すべきポイントがあります。

 まず、もっとも簡単な例として、企業が損失を計上している場合を考えてみましょう。いうまでもなく、企業は要したコスト以上に商品を売り上げることにより利益を得ることができます。しかし売上不振、もしくは高コスト体質が原因で、コストを上回る売上がなければ、いつしか資金も底をつき、会社は倒産してしまいます。
 そこで確認したいのが、決算書の1つである損益計算書です。損益計算書には、企業の利益や損失に関する情報が記載されています。ここで「営業利益」「経常利益」「当期純利益」ではなく、「営業損失」「経常損失」「当期純損失」が計上されている場合には、倒産への注意が必要です。

 しかし、倒産の兆候を見るには、こうした企業の損失にだけ注目するのでは不十分です。なぜなら、企業の売上やコストは、お金そのもの動きとは必ずしも一致していないからです。

 たとえば、企業は商品を売り上げても、その代金は1カ月後、2カ月後に受け取ることが多々あります。そのため、実際にはお金を受け取っていなくても「売上」となり、「利益」となります。逆に、損益計算書で「損失」となっていても、お金が増えていることもあります。
 そう考えると、損益計算書の利益や損失以上に、実際にお金が入ってきた、出ていったという「収支」がとても重要なポイントになるわけです。

 企業のお金の収支は「キャッシュフロー」といいます。そして、その情報は、決算書の1つである「キャッシュフロー計算書」に記載されます。このキャッシュフロー計算書に記載されている、企業の商品の売買に関する収支を表す営業活動によるキャッシュフローがマイナスになっている場合には、注意が必要です。
 営業活動によるキャッシュフローがマイナスであるとは、企業が商品の売買によって得た収入以上の経費などを支払った結果、お金が減ってしまったということです。個人に置き換えれば、給料(収入)以上の生活(支出)をしているということですから、この状態が続けば、いつか資金が底をつき、倒産してしまうというわけです。

 さて次回は、さらにもう1つの決算書である「貸借対照表」におけるポイントについて見ていきましょう。


2007/06/26

企業が倒産するとは
企業の抱える究極のリスク

 介護保険料不正請求問題、牛肉偽装問題、スパ施設爆発事件など、企業の不祥事が後を絶ちません。企業経営は、こうした不祥事や不正が生じるリスクをはらんでいます。

 多くの場合、こうした不正は企業の決算にも大きな影響を与えます。最近の例でいうと、お菓子メーカーの不二家は、商品の廃棄による損失や店舗に対する補償金などの支払に追われ、実際に2007年3月の決算では大幅な赤字を計上する結果となりました。
 さらに上記のような不正は、企業が抱える究極のリスクである「倒産」の引き金となる可能性もはらんでいます。実際過去には、こうした不正により倒産した企業もあります。

 ところで、企業が「倒産」するというのはどういう状況であるか知っていますか? 実は、「倒産」は法律上で定義されている用語ではありません。「倒産」とは、企業が経済破綻を起こした状態、つまり企業が支払不能に陥ってどうにも立ち行かなくなった状態を意味しています。さらに付け加えれば、さまざまな代金や借金について支払う資金がなく、借りることもできずにどうしようもなくなった状態を意味しています。
 もしくは、以下のような具体的な企業整理の手続きをもって「倒産」と表現することもあります。

(1)法的整理手続

  1. 破産
  2. 特別精算
  3. 会社更生
  4. 民事再生

(2)その他

  1. 不渡りの発生による銀行取引停止
  2. 任意整理

 企業が存続するケースもあれば、そうでない場合もありますから、「倒産」という言葉が非常に広い意味を持っていることには注意が必要です。企業とは、常に倒産のリスクを持った存在なのです。

 次回は、具体的な決算書から見えてくる倒産の兆候についてみていきましょう。



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