2007/07/30
株式の持ち合いと時価評価
M&A防衛と株式の持ち合い
先日、村上ファンドの元代表、村上世彰氏に実刑判決が下されました。こうした村上ファンド事件や、大きな注目を集めたライブドア事件は、今後の株式市場のあり方、ひいては経済社会における倫理観にまで影響を与えることになりそうです。
ところで、ライブドア事件や村上ファンド事件を1つのきっかけに、日本におけるM&Aやその防衛策への関心が高まったように思います。特に最近では、外資系のファンドに対する各社の買収防衛策がよく報じられています。
たとえばブルドックソースは、ご存じのように新株予約権を利用することでスティール・パートナーズへの対応をはかりました。新株予約権を利用した買収防衛策というとフジテレビとライブドアの攻防を思い出しますが、ブルドックソースはこれにより、スティール・パートナーズの持株比率を下げようというわけです。
株主は、配当などの経済的権利と株主総会での議決権などの経営権を持っていますが、経営を左右するほどの経営権を持つためには、一定割合以上の株が必要。逆にいうと、一定割合以上の株さえ持たれなければ経営を脅かされることはありません。また、経営を脅かさない株主に一定割合以上の株を持たせておけば安心です。ブルドックソースは、スティール・パートナーズの持ち株の割合を下げることで対抗しようとしたのです。
こうしたブルドックソースと異なり、日本の伝統的手法を採用して経営を脅かさない安定株主の確保を試みた企業もあります。
その企業は、ブラザー工業です。
ブラザー工業は、シチズンホールディングスらと共に、「株式の持ち合い」をはじめました。この持ち合いは業務提携を目的としたものとのことですが、安定株主の確保という一面もあるでしょう
次回は、この株式の持ち合いについて、詳しくみていきましょう。
2007/07/24
企業が倒産するとは
決算書に現れる倒産の兆候②
前回に引き続き、各種決算書から見えてくる、企業の倒産の兆候について見ていきましょう。前回は損益計算書について解説しましたが、もう1つの決算書である「貸借対照表」にも注目すべきポイントがあります。
それが、「自己資本比率」です。自己資本比率は「純資産÷(純資産+負債)」で求められます。

企業は、株主からの「出資」と、金融機関等からの「借入」によって資金を調達し経営されています。出資分は企業が倒産するまで返済義務はありませんが、借入については返済に追われることになります。
乱暴ないい方をすると、企業は借入の返済ができなくなったとき倒産に追い込まれることになりますので、借入が多ければ多いほど倒産する確率が高いということになります。
ここで出資は「純資産」として、借入は「負債」として貸借対照表に計上されます(ちなみに、両者をあわせた、企業の利用できる資金総額が「資産」として貸借対照表に計上されます)。そのため、純資産と負債の比率である「自己資本比率」によって、倒産の度合いを測ることができるのです。
つまり、自己資本比率が高ければ(=負債が少なければ)倒産度合いは低くなり、自己資本比率が低ければ(=負債が多ければ)倒産度合いが高くなるということです。
上場企業の自己資本比率の平均は40~50%ですので、20%以下であればかなり低いといえるでしょう(金融機関は除く)。特に、自己資本比率がマイナスとなった場合には、負債が資産を上回る「債務超過」を意味しており、かなりの注意が必要です。
もちろん、決算書のデータだけですべて判断できるようなものではありませんが、1つの兆候として知っておくといいでしょう。
2007/07/10
企業が倒産するとは
決算書に現れる倒産の兆候①
企業は、不祥事などのハプニングによって突然倒産することもあります。しかし、業績不振などの結果、徐々に倒産へと近づいていくケースもあり、その兆候が決算書に現れることがあります。
もちろん、各種決算書の「ここがこうなっていたら倒産」というほど単純な話ではありませんが、一般的に倒産の兆候として注意すべきポイントがあります。
まず、もっとも簡単な例として、企業が損失を計上している場合を考えてみましょう。いうまでもなく、企業は要したコスト以上に商品を売り上げることにより利益を得ることができます。しかし売上不振、もしくは高コスト体質が原因で、コストを上回る売上がなければ、いつしか資金も底をつき、会社は倒産してしまいます。
そこで確認したいのが、決算書の1つである損益計算書です。損益計算書には、企業の利益や損失に関する情報が記載されています。ここで「営業利益」「経常利益」「当期純利益」ではなく、「営業損失」「経常損失」「当期純損失」が計上されている場合には、倒産への注意が必要です。
しかし、倒産の兆候を見るには、こうした企業の損失にだけ注目するのでは不十分です。なぜなら、企業の売上やコストは、お金そのもの動きとは必ずしも一致していないからです。
たとえば、企業は商品を売り上げても、その代金は1カ月後、2カ月後に受け取ることが多々あります。そのため、実際にはお金を受け取っていなくても「売上」となり、「利益」となります。逆に、損益計算書で「損失」となっていても、お金が増えていることもあります。
そう考えると、損益計算書の利益や損失以上に、実際にお金が入ってきた、出ていったという「収支」がとても重要なポイントになるわけです。
企業のお金の収支は「キャッシュフロー」といいます。そして、その情報は、決算書の1つである「キャッシュフロー計算書」に記載されます。このキャッシュフロー計算書に記載されている、企業の商品の売買に関する収支を表す営業活動によるキャッシュフローがマイナスになっている場合には、注意が必要です。
営業活動によるキャッシュフローがマイナスであるとは、企業が商品の売買によって得た収入以上の経費などを支払った結果、お金が減ってしまったということです。個人に置き換えれば、給料(収入)以上の生活(支出)をしているということですから、この状態が続けば、いつか資金が底をつき、倒産してしまうというわけです。
さて次回は、さらにもう1つの決算書である「貸借対照表」におけるポイントについて見ていきましょう。
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