ABO:会計士平林亮子の経営カウンセリングルーム

公認会計士の平林亮子が、企業経営に関するさまざまな話題を会計の視点から語ります。

2007/06/18

損益計算書の読み方
繰延税金資産と業績(後編)

 前回から引き続き、繰延税金資産について、今回は損益計算書を見ながら解説します。税金の前払いとしてプールされる繰延税金資産には、気をつけなければならない重要なポイントがあります。それは、繰延税金資産とは「将来支払う税金が減額される」という意味で、前払いした税金が無条件で減額されるものではないということ。たとえば、前回見た図を例に考えてみましょう。

hira20070618-1.jpg

 繰延税金資産は、減額する基になる法人税があって、はじめて減額効果があるものです。そのため、将来の利益を見込めないことが当初からわかっている場合は、繰延税金資産をプールできないことになっています。
 繰延税金資産がプールできる状況かどうかを、「繰延税金資産の回収可能性」と表現しますが、これは将来の業績が十分に見込めるかどうかで判断されます。
 この点、JALは将来の業績について十分な利益が見込めると主張したのに対し、監査法人はそれを認めませんでした。そのため、これまでプールしてきた繰延税金資産の回収可能性も認められなくなり、それを取り崩した額が「法人税等調整額」として損益計算書に反映された結果、以下のような当期純損失を招いたというわけなのです。

【JAL2007年3月期の損益計算書】
項目金額説明
売上2兆3019億1500万 
 
 
税引前当期純利益520億5500万 
法人税、住民税および事業税99億5300万税法に基づいて計算された納付すべき税額
法人税等調整額544億2400万過去に前払いとしたが、将来の減額効果が認められず修正する=繰延税金資産の取り崩し分。税額99億5300万にプラス
少数株主利益39億4500万外部の株主の取り分として利益からマイナス(少数株主利益の説明は別の機会にします)
当期純利益△162億6700万=税引前当期純利益520億5500万-理論的な税額(99億5300万+544億2400万)-少数株主利益39億4500万

この記事へのトラックバック・コメント受付は終了しました



アスキービジネスについて

アスキービジネス

アスキービジネスはWebサイト「アスキービジネス オンライン」と雑誌「アスキービジネス ITスキルアップ」の両面から企業のIT担当者を支援するサービスです。