ABO:会計士平林亮子の経営カウンセリングルーム

公認会計士の平林亮子が、企業経営に関するさまざまな話題を会計の視点から語ります。

2007/03/05

粉飾決算から見えてくるキーワード
「発生主義」とは?

 昨年1月のライブドア事件もまだ記憶に新しいところですが、年末から今年にかけても、日興コーディアルグループなどで粉飾決算の問題が生じています。粉飾決算は偽りの数値の公表ですから、絶対に許されるものではありません。また、いずれはそれが偽りであると分かってしまうものですから、長い目で見れば何のメリットもないのです。
 実際、粉飾決算が発覚した後の各社の状況を見れば、一目瞭然です。ライブドアは上場廃止となり、日興コーディアルグループは、シティバンクに買収されようとしています。粉飾決算を行なう動機はさまざまですが、偽りの利益は、やはり偽りでしかないのです。

■粉飾決算に見る会計の特徴
 ところで、粉飾決算は現代の会計の特徴をうまく利用して行なわれる場合が多々あります。たとえばライブドア事件では、連結決算の対象から除外されるような会社を巧みに利用し、利益を水増ししたと言われています。
 そのほかにも、手っ取り早く利益を水増しする「架空売上の計上」という方法があります。架空売上とは、モノが売れてもいないのに「売れた」としてしまうことです。これは、会計の1つの特徴である「発生主義」という考え方を利用した手法といえます。

■「発生主義」という考え方
 この、現代の会計のキーワードの1つともいえる「発生主義」について説明しましょう。
 会社の利益は、簡単にいえば「売上-コスト=利益」のように、売上からコストを差し引いて計算されます。このとき売上やコストは、実際の収入や支出が生じたときに集計するのではなく、商品を顧客に出荷した時点で売上を、実際にコストが発生した時点でコストを集計することになっています。たとえば、代金が1カ月後に振り込まれる場合にも商品を出荷した時点で売上となり、料金が1カ月後に引落とされる水道光熱費なども、利用した月のコストとなるわけです。
 このように、実際の現金や預金の増減があったときではなく、売上やコスト発生の事実があったときに集計するという考え方を、発生主義といいます。

■発生主義と粉飾決算
 発生主義は、利にかなった考え方であると同時に、会計を複雑にしている1つの原因であるとも感じます。
 代金が振り込まれなくても売上となりますから、書類1枚(というのは極端ですが)で架空の売上を作り上げることも、それほど難しくないということなのです。
 コストについても同様です。また、将来予測のもとに金額を見積もる場合もあるので、それが売上やコストとして正しい金額であるかどうか、はっきりと判断できない場合もあります。粉飾決算の多くは、そのような会計数値の特性を巧みに利用しているのです。
 さて次回は、もう1つのキーワードとして、会計における「連結」について考えていきます。

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