2007/02/05
企業の人件費を考える
ホワイトカラーエグゼンプションと人件費
2007年1月16日、安倍首相は労働時間規制を一部除外する「ホワイトカラーエグゼンプション(WE)」の導入について、法案提出を見送るとの考えを表明しました。現在、管理職などを除いては、一定の労働時間を超えた場合、規定の残業代を支払わなければいけないことになっています。WEとは、こうした労働時間の規制をなくしてしまおうというものです。
「一定の労働時間」の規制をなくしてしまうことで「残業」という概念がなくなり、結果として企業は従業員に残業代を支払う必要がなくなります。一方で、従業員はオフィスで無意味な時間を過ごす必要がなくなるというわけです。
■ホワイトカラーエグゼンプションが提唱されたわけ
WEは、報酬は仕事の成果に対して決定し、労働時間の長短で評価しないという考え方に基づいています。実際、成果さえ出せば作業時間の長短は関係ないという仕事は確実に存在しています。このブログの執筆などもその1つですし、プログラマなども該当するかもしれません。現代の仕事事情を踏まえ、作業時間ではなく成果に対して一定額を支払うことにしようというわけです。
これは従業員の立場から考えれば「仕事が終わったから直帰しよう」「今月はもうノルマを達成したから遊びに行こう」ということが可能になるでしょう。また、残業代欲しさにダラダラと仕事をすることや、仕事時間中に長時間休憩を取ったりすることについて、これまで行なわれていなかったとはいい切れません。そのような無駄な時間を排除したい、という会社側の言い分もあるでしょう。
WEはすでにアメリカで導入されている制度であり、新しい働き方にあった賃金制度を目指すものとして、日本経団連から提言されたのです。
■企業と人件費の管理
一方、この制度によって人件費がカットされるのではないかという懸念もあるようです。しかし、これは各企業が制度をどのように活用していくかによって異なってくるでしょう。
いつの時代も、人件費の管理は重要な経営課題の1つ。なぜなら、人件費の主なものである給与の額は、企業の経費の中でも非常に大きな割合を占めるものであると同時に、その額以上に企業経営に大きな影響を与えるものだからです。たとえば、従業員に給与を支払う場合、その給与額に応じて社会保険料なども負担しなければなりません。現在では、給与の24%前後の社会保険料(厚生年金と健康保険)を納める必要があり企業と従業員で折半していますが、今後厚生年金については2017年まで徐々に高くなっていくことになっています。その他、労働保険(雇用保険や労災保険)も給与の額に応じて企業が負担することになります。
つまり、給与の額の変動は、それ以上に大きな業績の変動をもたらすものだということです。そのため、人件費の管理は、企業経営の重要な課題となります。WEが導入された場合、各企業が人件費の管理にどのように活用していくか注目されるところです。
次回は、WEが人件費の管理に与えうる影響として、人件費の固定費化という観点から考えてみます。
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