2007/01/08
日本版SOX法と内部統制について考える
財務報告(決算書)の信頼性の見極め方
■リスクアプローチという考え方
財務報告の信頼性という観点から考えると、リスクは具体的には財務諸表(決算書)の、(意図的な粉飾を含む)誤りという形で表れます。そして、財務諸表に関するリスク評価は、正に私たち公認会計士の専門分野です。
公認会計士が監査をする際、財務諸表に誤りが生じるリスクを「重要な虚偽表示のリスク」と名付けて評価し、そのリスクの程度に応じて財務諸表をチェックしていきます。そして、リスクの高い項目はより重点的にチェックし、低い項目は相応にチェックするという「リスクアプローチ」という手法を用いて監査を実施しています。
■財務諸表項目に内在するリスク
そこで、会計士が実施する財務諸表監査におけるリスク把握について、経営者の内部統制の構築にも有用だと思われる2つのポイントを取りあげてみましょう。
1つ目は、財務諸表の内容からどのようにリスクを把握するのかというポイントです。財務諸表には、一般的にどのような企業でもリスクが高くなりがちな項目(勘定科目)と、その企業特有の状況からリスクが高くなりがちな項目があります。そこで、企業全体のリスク(倒産リスクなど)も踏まえたうえで、それらの項目の存在に注目し、重点的にチェックします。
一般的にリスクが高くなるものとしては、たとえば「現金」は横領される可能性が高い、「売掛金」は貸倒れる可能性や架空計上の可能性が高い、といったことが挙げられます。
また、企業特有の状況の場合、たとえば商社は在庫(財務諸表では「商品」や「棚卸資産」)を抱えて倒産するリスクは少ないですが、小売業ではそれらがリスクの高い項目となりがちです。
このように財務諸表の項目や企業の状況によって、リスクを判断することができるのです。実際、財務諸表を一目見て危ない点を見抜けるベテラン会計士もたくさんいます。
■継続企業の前提についての判断
2つ目は、企業が継続して事業を行なうことが可能か(継続企業の前提)を判断する際、会計士は財務諸表のどこを見るのかというポイントです。財務諸表監査において、公認会計士は、その企業が事業を継続できるかを判断する必要があります。具体的には、企業の経営者にそれを判断してもらい、経営者の判断を会計士がチェックすることになります。
企業が継続できるかどうかは、さまざまな観点から判断しますが、財務諸表も判断材料の1つになります。そして、たとえば営業活動によるキャッシュフローが継続的にマイナスである、売上高や営業利益が著しく減少している、といった状況があれば、企業の継続に重要な影響を与える、つまり倒産の前兆かもしれないと疑うことになります。
前回のブログで解説したとおり、内部統制の基準案で経営者には「全体的なリスク」と「業務プロセスのリスク」の評価と対応が求められています。必ずしも会計士のリスクの視点と一致するものではありませんが、今回解説した2つのポイントが1つの参考になるでしょう。
次回はSOX法関連の話題の最後として、内部統制に対する2つの誤解について紹介します。
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